平成25年9月定例会  一般質問

 今日の一般質問、1日目の最後となりました。
 清風クラブの姫野です。クラブを代表して一般質問を行います。
 
1、防災・減災について
 過ぎてしまえばうそのようですが、本当に暑い夏でした。高知県の四万十市では、気温が41度を記録するなど、連日高温続きでした。全国の気温分布図が真っ赤になるほどの熱波でした。熱中症による患者数もかつてない搬送数でしたし、一時間当たりの雨量も新記録が続き、山口県内でも萩市や山口市など大きな被害が起こり、一日に何度も警報のメールが入ってきました。
 気象庁は、この夏、新しい発表基準を行い、重要な災害の危険性が著しく高まっている場合、新たに特別警報として最大限の警戒を呼びかけることとなりました。そんな中、関東では2カ所竜巻の被害が起こるなど、世界的にも予想を上回る環境の崩れを感じています。
 岩国市としても、関東大震災以来、9月1日を防災の日と決め、市報でも8ページにわたっての特集が組まれています。市民の皆様の命と財産を守りたいという思いでしょう。
 こうした情報提供をごらんいただき、家族で話し合って避難所まで歩いてみる、みんなでいざというときのことについて話し合う、おのおのできることを考え合うなど行動に移してみることも大切でしょう。
 ところで、「0次防災」という言葉を御存じでしょうか。「0次の備え」とは、非常持ち出し品を1次の備え、被災後の数日間を生き延びるための備蓄を2次の備えとし、外出時にも携帯したり持ち歩く備えを1次の手前の「0次の備え」と呼ぶことで、さらに備えの普及啓発に取り組もうとしているものです。
 各家庭、学校、職場などでも「0次の備え」を意識づけ、平時から取り組むべき状態に来ているかと思います。
 非常持ち出し袋を購入した、要る物は準備した、だから安心というのではなく、日ごろからこの場でもし災害が起こったらどうやって生き延びるか、方法は、と考えてみるとよいと思います。ぐらぐらっと来たら机の中にというだけでなく、水がなかったら、トイレが使えなかったら、ここに挟まれて動けなかったらと、どうやってそこを助けを求めて逃げることができるか、そこまで考えてみる。常日ごろからあめ1個でも、携帯食品一つでも持っておくことなど、非常持ち出し袋の中を確認し、これだけはいつも持っておこうという考え方も大事かと思います。また、使い方についても確認しておくとよいかと思います。
 持ち運ぶ防災・減災グッズとして、常に持ち歩く「0次の備え」として、バッグの中に非常時のためのホイッスル、夜の災害時にあわせてライトを用意しておく。そのほかにもたくさんありますが、夜食べる物がないときのためにちょっとしたあめや簡易食品を用意するなど、こんなことは大きな準備がなくてもできる用意です。常備の薬などもこういったものに、いつもポーチに入れて持っておくというのも大変便利です。
 また、日ごろ使いなれているものをふやしていくこと、充実していくことも大切だというふうに紹介をされていました。女性の生理用品なども衛生用品としてけがをしたときの簡易トイレとしてもよいよ、というものもありました。そういった使い方について市の考えをお尋ねします。
 次に、児童・生徒への危機管理教育について、子供たちへの防災対策についてお尋ねします。
 3・11より2年半、9・11から12年が過ぎ、節目の日となりました。地震や津波、先ごろは竜巻と、近年の異常気象に、今後、南海トラフによる大地震や大雨による危機管理が問われる時代です。
直近の防災対策の見直しについては同僚議員の長議員があす質問されますのでお任せするところですが、一方、より危機感を持って子供たちの危険を判断し、生き抜く力を防災対応能力として考えないといけない時代ではないでしょうか。危険の予知や判断、命を守るための指導も欠かせません。
 ちなみに、東京都では、東海地震の対応として、小学校では地震や火災発生時における行動の仕方や対応の方法について考えさせたり、日常の生活がさまざまな場所で発生する災害の危険を理解させたりするとともに、的確な判断のもとに安全な行動ができるよう危険を予知し、回避する能力を身につけさせる。中学校においては、地震や火災発生時に予想される状況について理解を深めるとともに、日常生活において危険を事前に予測し回避する能力を育て、災害が発生したときには適切な行動がとれる能力を身につけさせる。さらに、ほかの人々や地域の安全に役立つ態度や能力を養う必要があるとの取り組みでした。
 こうした災害時が迫っている今日、本市の取り組みと対策についてお尋ねします。

 2、地域と小学校の開かれた交流と育みについて
 すくすくスクールを参考にした取り組みについてお尋ねします。
 先日、教育民生常任委員会で東京都江戸川区にある葛西小学校を視察しました。江戸川区の区長が教育長だったこともあり、学校施設の活用が大変進んでいました。その一つに、有料、育成料4,000円の学童クラブとは別に、すくすくスクールという、登録をすれば1年から6年まで、学校が終わった放課後5時まで、スタッフの見守りの中、過ごすことができ、運動場で子供たちが伸び伸びと過ごしていました。
 この学校の場合、全児童・生徒の60%が利用登録をしていました。児童教室よりもしなやかな運営で、来た順番に棚にかばんを置き、児童教室の子供たちと一緒に同様に過ごしていました。
 平成15年度にスタートし、17年には全校73校で実施されるなど10年近い歴史を持っておられますが、大変好評で、他市も倣っているためか、三日目の視察先武蔵村山市などでも珍しくはない様子でした。異年齢の交流とともに、各学校、地域の方々が得意とされるお琴やラクロスなどさまざまなメニューを多く用意され、地域民の有志がクラブのマネジャーされるなど、地域の方々が交流を支援し、地域に知っている大人や子供が多く、子供たちの豊かな人間性を育んでいることを実感しました。
 中高年の方々も、子供たちのかかわりに生き生き、生きがいを持って暮らしておられるようでした。放課後児童教室の充実は、これまで地域の要望に則し進んできていますが、社会問題も深刻化する中、こうした1年から6年まで登録すれば利用のできる居場所の充実についてお尋ねします。
 最後に、

3、地域医療の課題と解決について
 高齢化の進む中、地域の病院で治療や入院できるのは大変心強いものです。一方、医師や看護師不足などにより定床数にも影響を与えているものと思います。市の施設、市民病院なども厳しい問題が控えていると思いますが、その課題と将来的な未病対策についてお伺いします。
 また、貧困や不安な生き方が不健康な食事や生活習慣に大きな影響を与えると思われます。病気とはいえないものの、不調を感じる方も多いようです。生活習慣病、三大疾病、がん、脳卒中、心筋梗塞、透析の必要な慢性腎臓病――CKDなどについても受診、診療のおくれは治療の深刻化になるため、その改善に日々努めておられることはもちろん重要ですが、国保料の未納や、今後、無年金も多く見込まれることから、今後についても状況や対策についても大変厳しいのではないかと思われます。そのことも含めお尋ねします。
 以上で、壇上からの質問を終わります。



 <答弁>
 福田市長

 姫野議員御質問の第3点目の、地域医療の課題と解決についての
(1)施設における課題と将来的な未病対策についてお答えをいたします。

 まず、市立病院などの現状と課題に対する取り組みについてでございますが、本市における地域医療体制といたしましては、錦中央病院と美和病院の二つの市立病院を初め、本郷診療所や本郷歯科診療所などの診療所に医師や看護師などの医療スタッフを常駐、または山口県等から派遣していただき、地域住民が安心して暮らすことができるよう、地域医療の確保を図っております。
 しかしながら、市立病院の医療スタッフの充足につきましては、現在のところ、錦中央病院においては看護師が、また、美和病院においては看護師や薬剤師が病床数に対して不足している状況でございます。医療スタッフの確保や医療面における市民の安心の確保は重要であると認識しておりますので、市といたしましても、看護師などの医療スタッフの募集について、広報紙や市のホームページへの掲載、ハローワークへの求人依頼だけでなく、看護師や薬剤師を養成する大学や看護師養成の専門学校などを訪問をしております。
 また、平成24年度からは、新たに西日本地域に看護師など医療スタッフの募集要項の送付を始めたところであります。さらに、医療スタッフが働きやすい環境を整えるため、住宅環境や施設整備等の勤務環境の充実についても取り組んでいるところでございます。
 市といたしましては、地域の住民の方々が安心して暮らすことができるよう、錦中央病院や美和病院、診療所の地域医療体制の確保について、山口県等の関係機関とも相談しながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、医療の深刻化を回避するための予測の推移と、未病の方に対する市の取り組みについてでございますが、未病とは、健康ではなく病気でもない状態で、病気が発症する前の段階であると言われております。
 厚生労働省の平成23年人口動態統計によりますと、全国の死亡原因は、がん、心疾患、脳卒中、糖尿病、腎不全などによる生活習慣病が全体の約6割を占めており、本市におきましても同様の傾向が見られます。また、国において策定された第二次国民健康づくり運動計画、いわゆる健康日本21では、10年後、がんなどの生活習慣病がさらに増加することが予測されております。
 市におきましては、岩国市健康づくり計画の主要な柱として、生活習慣病の発症予防を目標に上げ、地域、職域、学校、行政の関係機関が一体となって、早期発見と啓発に取り組んでいるところでございます。
 早期発見の取り組みといたしましては、がん検診や国保いきいき健診を行っており、少しずつではございますが、受診率は向上しております。また、その健診の結果から、糖尿病境界域の方に対しましては、健康教室や保健指導を実施しているところでございます。
 次に、啓発の取り組みといたしましては、健康づくり推進強調月間を設け、各地域において健康づくり計画に賛同する市民団体や企業、学校、医師会、食生活改善推進員等により食習慣の改善や運動習慣の定着、検診受診を主体的に啓発する体制を整備をしております。
 国においても、今後も生活習慣病の増加が予測されていることから、市におきましては、病気を発症する前の段階からの生活改善について、さらに多くの市民の方に啓発を進めていくため、地域、職域、学校などの関係機関との連携、協働をより一層強化するとともに、特に若い世代に重点を置いた活動を推進してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。



平岡和憲危機管理監
 第1点目の防災・減災についての
(2)「0次の備え」、減災への市民啓発についてにお答えいたします。

 いつどこで発生するかわからない災害に対して、非常持ち出し品の準備・点検、そして災害が長引いたときのための食料、日用品の備蓄は、災害対応の上で大変重要な項目の一つであります。
 議員御案内の「0次の備え」についてでございますが、これは神戸市にございます人と防災未来センターが提案しているもので、いわゆる日常的にかばんやポケットに入れて持ち歩く防災用品のことであり、非常持ち出し品を1次の備え、備蓄品を2次の備えと区別しているものであります。
 「0次の備え」は、東日本大震災のように外出中や旅行先で被災することを想定し持ち歩く携帯用の防災用品をリストにしてありますが、その中には、飲料水、チョコレートなどの菓子類、助けを呼ぶためのホイッスル、懐中電灯、雨具などがあり、自分の環境に合ったものを選んで携帯するのが有効であると言われております。
 国におきましては、本年6月に災害対策基本法の一部を改正し、その中で減災の考え方や自助・共助・公助の基本理念を明記し、災害対策に関する基本的な考え方を広く共有し、関係者が一体となって対策に取り組むよう体制を整えようとしております。特に、住民に対しては、自助という観点から、住民が行うべき責務の例として、食品、飲料水、その他生活必需品の備蓄や防災訓練への参加を明記したところであります。
 市といたしましても、自分の身は自分で守るという基本的な考え方から、常日ごろからの備えは十分行っていただきますよう、広報紙、ホームページ、自主防災組織等を対象にした防災講話を通じて啓発に努めているところであります。
 さらに、「0次の備え」についても、その考え方は大変重要なことであると考えており、日ごろから持ち歩けたらいざというときに役立つ防災用品についても、各種広報媒体、防災講話などで啓発、紹介を行い、減災につなげてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

佐倉弘之甫教育長

1点目の防災・減災についての
(1)児童・生徒への危機管理教育についてお答えします。

 お尋ねの危機管理教育の同義と思われる防災教育は、さまざまな危険から児童・生徒の安全を確保するために行われる安全教育の一環で、各学校においては地域の特性や実態を十分に踏まえた計画を立てた上で、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間等を活用し、発達段階に応じて横断的に、系統的に進める必要があります。
 県においては、平成24年度に、生きる力を育む防災教育の推進を全県共通テーマとして設定し、各学校において子供たちの防災対応能力の育成に取り組んできております。
 岩国市においても、岩国市教育基本計画の教育方針の一つとして、安全で安心して教育が受けられる環境の整備と防災教育の徹底を掲げております。
 各学校では、応急対策マニュアルを作成しておりますが、これは地震、台風、風水害等災害発生時の具体的な対処マニュアルです。市のハザードマップやこれまでの計画をチェックしながら、地域の特性や実態を踏まえた実効性のある応急対策計画の構築に努めます。
 これらを踏まえて、各学校では、地震、火災、津波などのさまざまな災害を想定した避難訓練も実施しています。その中には、中学生が校区内の小学生や幼・保育園児の避難誘導をするなど、地域が一体となって訓練を行っている本郷地区のようなケースがあります。また、柱野小学校では、これらの訓練の際、市の防災担当者の指導のもと、避難方法を初めとして、災害発生時の対応について、「0次の備え」として防災リュックの整備の仕方や避難所での段ボールによる間仕切りの設置等、子供でもできることを認識させ、防災についての意識を醸成しています。
 このように、実際の避難訓練や事前・事後の指導を通し、災害時における危険を認識し、状況に応じた的確な判断をするとともに、みずからの安全を確保するための行動ができるよう、防災対応能力の育成を各校において取り組んでおります。
 今後も、全県共通テーマ、生きる力を育む防災教育の推進のもと、学校、家庭、地域の連携をさらに深め、共通認識のもと、それぞれの防災対応能力を高めていくよう防災教育を推進していきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

 第2点目の、地域と学校の開かれた交流・育みについての
(1)すくすくスクールを参考にした取り組みについてお答えします。
 現在、岩国市では、国や県の助成を受けながら、放課後等、子供が安心して活動できる場の確保を図るとともに、次世代を担う児童の健全育成を支援することを目的として、放課後子どもプランによる放課後児童健全育成事業及び放課後子ども教室推進事業で放課後対策を進めております。
 このうち、放課後児童健全育成事業として行っております放課後児童教室は、児童福祉法第6条の2第2項の規定に基づき、保護者が仕事などで昼間家庭にいない小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童を対象に、放課後に適切な遊びや生活の場を与え、その健全な育成を図ることを目的として実施しております。
 利用時間につきましては、平日は授業終了後から午後6時まで、土曜日、長期休暇及び臨時休校日は午前8時から午後6時までとなっており、平成25年5月1日現在、学校の余裕教室や学校敷地内の専用施設、児童館等で32教室を開設し、1,200人の児童が利用しております。
 一方、放課後子ども教室推進事業として行っております放課後子ども教室は、全ての子供に放課後や週末等に小学校の余裕教室などを活用し、安全・安心な子供の活動拠点、居場所を設け、地域の方々の参画を得ながら、子供たちに勉強やスポーツ・文化芸術活動、地域住民との交流などの機会を提供することにより、子供たちが地域社会の中で心豊かで健やかに育まれる環境づくりを目的とする事業です。
 本市における放課後子ども教室は、平成20年度から市の委託により事業を開始し、現在は地域のボランティアの皆様方や学校関係、公民館等の方々の御支援、御協力により7教室を開設し、事業を実施しております。
 各教室ともおおむね月1回もしくは2回の割合で、工作、お菓子づくり、パソコン教室、予習・復習勉強、昔の遊び体験、自然体験活動、豆腐づくりやそば打ち体験などの各種講座を実施しております。
 平成24年度の実績では、教室開設は延べ268回、延べ2,784人の児童が参加しております。今後につきましては、放課後児童の居場所づくりとしてさらに多くの教室が開設されるよう、各教室の活動の周知やボランティアの方々に働きかけるとともに、こども支援課との連携を図りながら、両教室の特性を生かし、児童に多くの活動体験の機会を設ける試みをしながら、放課後児童の健全育成に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 


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