スウェーデンエコツアー

環境について気がかりなことの多いこの頃ですが、2002年9月26日から10月3日までスエーデンへ
環境エコツアーに参加しました。9月議会終了後直ちに岩国を出発しました。
今回の視察の主な目的は
スウェーデンの環境施策の概念の理解
エコホテル、エコスーパー、ゴミ処理施設の見学。
学校や公務員の環境教育
石油を使わない地域暖房システム
自然エネルギー バイオガス、風力発電施設見学
ゴミ収集、生ゴミ処理、源分別など
エコ県の県議会議員との情報交換などです。

以前こころネットワークの6号にてご報告しましたように、3年前に行ったドイツでは、
ゴミの削減や紙などの資源の回収こそ一律の方法がありましたが、焼却や埋め立てについては 
各県毎の施策がまちまちで、ある県では燃やし尽くす、ある県では燃やさずに埋めていくなど方法が
異なっていました。しかし今回のスウェーデンでは世界一の環境先進国と言われるだけあって、
4歳からの環境教育などしっかりとしたポリシーを育て、地に足がついた環境施策が出来ているなと感じました。
 スウェーデンでは1988年にバルト海沿岸にアザラシの死骸が大量に打ち上げられたことなどをきっかけに
環境に対する関心が高まっていました。環境施策を独自に国でと考えていた矢先、リオデジャネイロで開催された
地球環境サミットにてアジェンダ21が採択されました。国の代表が国内に持ち帰り、国内全域でこのアクションに
ついて具体的な目標を決め、専門員を置いて県から末端の市町村まで、環境施策を計画・実行していました(ローカルアジェンダの策定)。
スウェーデンを訪問する直前(3年ごとの9月の第3日曜日)には国会議員選挙が行われ、
環境党が与野党いずれに付くかが注目されていました。結果的に与党になりましたが、環境施策が進まない場合は、
鞍替えすることだってあり得ると、国会内での影響力も大きい様でした。

 初日 ストックホルムに夜遅く到着。アーランダーエクスプレスで約20分でストックホルム中央駅に到着。

宿泊したホテル(ヒルトン・シュッセン)は環境循環を考えてあり、
部屋自体の97%が土に戻るもので作られていました。
ルームカードキーも木。ベッド、カーテン、壁、窓、など建材・素材はエコマーク認定のものでした。


 レストランなどではオーガニックの食事、
残飯でバイオガスを精製しており、ガソリンスタンドで、
菜の花油(使用済み天ぷら油を精製)など、選んで補給出来ます。

右は菜の花油の燃料。ホテルなどの洗剤などは容器に補充しては使います。
 スウェーデンでは4歳から環境教育が始められ、
企業や公務員なども教育・研修の機会が数多く用意されていました。

みみずさんの歌を歌って歓迎してくれました。

小学校5年生には環境教育用のバスが用意してあり、
湖などのフィールドに出かけます。

捕まえた水生昆虫を顕微鏡で見たり水の循環について、
このバスの運転もされる若い博士達から学ぶことが出来ます。


 自転車道も素晴らしく整備されており、
安心して自転車を利用出来ますし、公共交通もうまく、使い分け。
旧市内にはディーゼルエンジンの車は入れません。


洗車の汚水などには化学物質も多く環境に悪いので、
垂れ流すことなく地下のタンクに貯め処理していました。
エコ県であるゴットランド島では農林水産業に誇りを持って仕事おられました。
80機もある風力発電パークを見学。


おがくずを固めたチップを燃料にした地域暖房システムなどを整備。
25年(一世代)以内に化石燃料を使わない方針を打ち出していました。


 とにかく京都議定書以来、二酸化炭素の削減に車の排気ガス規制以外、
根本的なゴミの削減施策も余り進まない日本との違いを強く感じました。
 今回の旅を企画されたペオさんによると、(世界の)みんなで野球をやっているところに
(日本が)サッカーボールやバレーボールを持って来て「仲間に入れてくれ」と言っているようなものだ。
と例え日本の環境に対する認識の甘さにショックを覚えました。
しかし「日本はもったいないという(感性を持った)お国柄。早くに対応を始めれば数年の間に劇的に
環境施策を進めることも出来る。時が経ちこの精神が廃れてからでは困難を極めるだろう」とも言われました。
 消費者が環境に対して良くないものを買い続けることで環境破壊を助長し、賢い消費者が増えれば
企業も売るためにより一層努力を重ねて良い循環が生まれると。
 私たちの町の岩国友の会でも環境について色々学んで居られますが、
その月報中に「買って、作って、冷やして、捨てる」と言う言葉がありました。
食材を買って来て、料理し、冷蔵庫に入れ、結局古くなったからと捨てる・・・という意味でした。
これらのことは皆、二酸化炭素を大量に生み出します。
慣れることなくどこかで切り替えて賢い生活を手に入れていくべきだなあと深く感じました。

また、実際に参加してみたい方はワンワールドエコツアー
http://www4.famille.ne.jp/~oneworld/thefrontpagej.html
へご連絡下さい。
<スウェーデンでのミニデータ>
国会議員の45%は女性(当時最新データ)
ごみ量: 家庭ごみ/人:約265kg/年(1999)
化石燃料なしの社会の構築:1世代以内(約25年)
車のアイドリング:1分以上は禁止。(30年前から)
車アイドリングに関する罰金:6ヶ月以内の懲役

ストックホルム市
自転車専用道の距離は現在700km(キロメートル)
 (車道は1500km)(2001年)
ディーゼルエンジンのバスやトラックの市内中心部進入禁止
市内バスは化石燃料なし
非化石燃料暖房、グリーンエネルギー(エコ電力)システム
地下水や土壌を汚染ないような水処理システム

ゴットランド島
電力の18%から20%は風力発電でカバー
酪農や野菜の土地柄、環境対策に熱心なエコ県
世界遺産、観光地、環境立県

スーパーなどではほペットなどのデポジット回収場所が多い。
容器を入れるとレシートでポイントが出てくる。
包装なしの商品が増加
冷蔵冷凍商品は一カ所にまとめてあり、自動ドアで遮断し冷気を保っている
環境教育を受講 (店員、店責任者、店の環境マネージャ)
 1999年 100%など・・・

☆その他感心したこと☆
スーパーのレジも立ったままさせない。
(店員の健康を考えられている。職員の精神面の環境も大切にし、裏通路にも絵などを配して気持ちを変えている)
各会社などで、職場環境が素晴らしく良い。
効率的でゆったりとした空間。子どもを持つ母親への気遣い。(上司が部下が説明中はベビーカーを押してあやすなど)
学校の間取りや整備。(カーテン一つとっても、子ども達の感性を育む色やデザイン。)
教室内にもキッチンがあり、家庭と同様にくつろぎ、生活力を高める工夫などなど・・・
ツ ア ー の日 程
1日目
9/26
日本→フランクフルト経由→スウェーデン 朝8時半集合11時過ぎの飛行機にて成田を出発。
フランクフルトにて乗り換えスウェーデンのストックホルムへ午後9時頃到着。
空港から中心への電車(グリーンエネルギー)に乗り、ガムラスタン(旧市街地)がきれいに見える環境に優しいヒルトンシュッセンに泊。
2日目
9/27
ストックホルム 朝 6時半に朝食を取り、7時半から環境施策の基本を聞き
8時半バスにてホテルを出発。エコ都市開発プロジェクト(旧産業地域を住宅地)公営住宅地域を見学。
生ゴミの収集とバイオガスの精製プラントなどを見学。午後はボーチュラカ県へ移動。
学校訪問、校舎の見学や環境教育を視察。バスによる移動環境教育車を見学。
小学校5年生を対象に湖沼などに移動しての自然教室や県庁にて職員の環境教育になど聞き、情報交換。
3日目
9/28
ストックホルム  午前、1970年環革命の原点、楡の木のある王立公園へ。 
環境に配慮したヘムコープ(スーパー)などを見学。
午後は電車で移動しエコビレッジを見学。化学物質を極力排除し、車も乗り入れず環境と調和した住宅地に感動。
トイレでは おしっこだけを集め精製し肥料に活用。おがくずペレットを燃料にした集中暖房。
約30件で3台の車をカーシェアリングし共用。夜はバスにて郊外にあるエコホテルに移動。
4日目
9/29
ストックホルム(→ゴットランド島) ストックホルム郊外の自然環境との共存を数多く実践しているエコホテルを見学。
ホテル内の各施設やゴミの処理について学習。夕方の飛行機でゴットランド島へ移動。
世界遺産にもなっている市の中心地ウイズビーへ。城壁内のアパートホテルに3泊する。
5日目
9/30
エコ県であるゴットランドにて各地の環境施策の見学。
スウェーデン最大の風力発電パークへ。発電機約80機を見学。はるばる日本からの訪問が翌日新聞に載る 。
午後は幼稚園での環境教育の取り組みを見学。大型地域暖房システム施設見学。
6日目
10/1
エコ県ゴットランド終日  世界遺産散策、ヴィースビ市内のスーパーなどを見学。
午後は県議さんとの情報交換。3時からは一般の集団住宅の環境保護取り組み
(集団住宅でのごみの源分別、コンポストシステム、共同ランドリーなど)を見学。
スウェーデンの公共住宅は収入に関係なく入居可能。
敷地内の収集場所の鍵を開けていつでも出しに行けます。
生ゴミの堆肥化設備も進んでいるとのこと。
洗濯場は団地に一カ所集中して設置してあり、使用する時間を予約してみんなで効率的に使用。
夜は築230年のお宅にお住まいの環境メンバー宅を訪問。家庭料理をいただきながら暮らしぶり無理のない環境生活を見せて頂きました。簡素で素晴らしい・・・
7日目
10/2
エコ県ゴットランド→ストックホルム出発。 朝8時にゴットランドのホテルを出発。
ストックホルム市内にて、約4時間自由行動。
北方民族博物館、ガムラスタン(旧市街地)などを一人歩き。
3時の飛行機にてロンドンへ。 
8日目
10/3
ロンドン経由→成田機中泊→帰宅

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